NTMRの数学メモ

数学について調べたことを書きます。高校数学に毛が生えた内容。

黄金比とフィボナッチ数列と双曲線。その1

 何かの問題を解くか考察しているときに偶然遭遇した x²-y²+xy=1 という双曲線が通る第1象限の格子点を並べると(1,1),(2,3),(5,8),(13,21),…となりフィボナッチ数列が浮かび上がります。第4象限を見ると…,(-13,8),(-5,3),(-2,1),(-1,0)となり非正整数番に拡張したフィボナッチ数列が並びます。また、当然ながら第2,3象限にはこれらを原点中心に対象移動した格子点も通ります。
 以下、このような点を合わせてフィボナッチ格子点と呼んだり呼ばなかったりします。また、上に挙げた双曲線をフィボナッチ双曲線と呼ぶことにしましょう。

 そして目標は「フィボナッチ格子点であることがフィボナッチ双曲線が通る格子点であることの必要十分条件である」の真偽を調べることです。十分条件であることは簡単に分かります([1]で証明します)。ただ、必要条件であることは証明が難しく、体や環が絡んでくるペル方程式(の拡張)を解く必要があるようで、その方法は今の僕にはできませんでした。ただ黄金比が絡んでいるということで、なんか美しい性質があってなんか美しい感じに解けないかなという希望的観測のもと[2]で考察したことを、意味があるかどうかはおいておいて、まとめています。

 まず上でも述べたように、フィボナッチ数列とは切っても切れない重要定数・黄金比φの性質について、[1][2]で利用したものを証明しておきます。
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 これまで黄金比と真面目に向き合ったことがないのですが、φ²=1+φはなんだか-ω²=1+ωみたいだし、⁻φ(φバー)=-φ^(-1)も何となくどこかで見たことがある感じがして面白いと思いました。共役無理数の考え方も、共役複素数に似ていて面白いです。
 次に目標の命題について、十分条件であることの証明をします。

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 これは大して難しくはありません。
 次に双曲線X²-5Y²=4について考察するのですが、なぜこの双曲線かというと、①をX=2x+y,Y=yとおいて変形してできる式だからです。これは両辺を4で割って左辺を因数分解すると(X+Y√5)/2×(X-Y√5)/2=1となり、どことなく黄金比との関係を感じさせます。(途中x²-5y²=1とありますが、これはX²-5Y²=4の間違いです。)

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 フィボナッチ数列のようでフィボナッチ数列でないC_nが登場しましたが、これを用いることでX²-5Y²=1のが通る格子点の一部(の一部?)を表すことが出来ました。逆にこれらの点であることが、この双曲線が通る格子点であることの必要条件を示せれば、あとは簡単なのではないかと思います。次回はこれを証明するか、証明ができなかったらそうであると仮定して、(X,Y)がフィボナッチ格子点(x,y)に一対一対応することを証明するつもりです。

[補足(2021/3/10)] ここで  C_n として定義されている数列はリュカ数と呼ばれ、 L_n で表される有名な数列だったようです。確か式をこねくり回してこの数列を見つけたので、恐らく当時の僕はリュカ数のことを知りませんでした笑
 それでは、また。