NTMRの数学メモ

数学について調べたことを書きます。高校数学に毛が生えた内容。

三角関数から始める複素関数・後編 双曲線関数

 前編の続きなので、まだの方は是非そちらから。

natsu1014-brog.hatenablog.com

 さて、今回は変数が複素数三角関数について考えていきます。

 今回も、前回紹介したマクローリン展開が必要になっていきます。参加右関数のマクローリン展開は次のようになりました。

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 知りたいのはsin(ix), cos(ix)のような関数なので、これに思い切ってxiを代入してみましょう。

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  これだけではまだピンと来ないかもしれません。しかし、うまくやると、

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このようにe^xやe^-xと関係づけることが出来ました。ここまできたら①-②や①+②を-計算し変形することにより、次のようになります。

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 sin(ix)やcos(ix)をだいぶキレイに表せました。実は右辺に現れる式は双曲線関数と呼ばれるものであり、

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のように定義されます。名前の由来は媒介変数表示 x=cosh(t), y=sinh(t) が双曲線を表すことです。(ちなみに、これに対して媒介変数表示 x=xos(t), y=sin(t) が円を表すことから、三角関数を円関数と呼ぶこともあるそうです。)

 こうして、sin(ix)やcos(ix)は

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と表すことが出来ます。したがって、より一般に任意の複素数 z に対して、sin(z)やcos(z)は次のようになります。

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[訂正(21/02/19] cos(z) の右辺の符号は+ではなくーでした。
 さて、こうして変数が複素数三角関数を求めることが出来たわけですが、ここで終わっては味気ないので、双曲線関数の性質について簡単に紹介したいと思います。

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 ところどころ符号が異なりますが、これらの公式はcoshとcos、sinhとsinを結び付けて考えると、三角関数の公式にとても似ていることが分かります。

 これで「三角関数から始める複素関数」は終わりにして、次回は「加法から始める巨大数」を前後編に分けて書くつもりです。ではまた。