三角関数から始める複素関数・後編 双曲線関数
前編の続きなので、まだの方は是非そちらから。
今回も、前回紹介したマクローリン展開が必要になっていきます。参加右関数のマクローリン展開は次のようになりました。
知りたいのはsin(ix), cos(ix)のような関数なので、これに思い切ってxiを代入してみましょう。
これだけではまだピンと来ないかもしれません。しかし、うまくやると、
このようにe^xやe^-xと関係づけることが出来ました。ここまできたら①-②や①+②を-計算し変形することにより、次のようになります。
sin(ix)やcos(ix)をだいぶキレイに表せました。実は右辺に現れる式は双曲線関数と呼ばれるものであり、
のように定義されます。名前の由来は媒介変数表示 x=cosh(t), y=sinh(t) が双曲線を表すことです。(ちなみに、これに対して媒介変数表示 x=xos(t), y=sin(t) が円を表すことから、三角関数を円関数と呼ぶこともあるそうです。)
こうして、sin(ix)やcos(ix)は
と表すことが出来ます。したがって、より一般に任意の複素数 z に対して、sin(z)やcos(z)は次のようになります。
[訂正(21/02/19] cos(z) の右辺の符号は+ではなくーでした。
さて、こうして変数が複素数の三角関数を求めることが出来たわけですが、ここで終わっては味気ないので、双曲線関数の性質について簡単に紹介したいと思います。
ところどころ符号が異なりますが、これらの公式はcoshとcos、sinhとsinを結び付けて考えると、三角関数の公式にとても似ていることが分かります。
これで「三角関数から始める複素関数」は終わりにして、次回は「加法から始める巨大数」を前後編に分けて書くつもりです。ではまた。