NTMRの数学メモ

数学について調べたことを書きます。高校数学に毛が生えた内容。

統計的な推測(数B)の備忘録

数Bといえばベクトルと数例ですが、一応「確率分布と統計的な推測」という単元もあります。高校では習わず独学で勉強しましたが、何しろ問題を解く機会がない(手元の問題集にも載っていないものが多い)ため、すぐ忘れてしまいます。そのため、備忘録として…

第一同型定理の証明と第二、第三同型定理の紹介

過去の記事で、後日改めて同型定理についてまとめると言いつつ放置していましたが、時間的に余裕ができたので整理しました。なお、各同型定理は本来、複数の主張を含んでいますが、独断で一部の主張だけ紹介します。 まず、第一同型定理は次のような主張にな…

オイラー関数についての不等式

以前からオイラー関数 を何回反復させれば初めて になるのか興味がありました。特に明確な同機があるわけではないのですが、恐らく約一年前に書いた下の記事の内容がそれとやや関係しているからだったかもしれません。(関係ないですが、しばらく前に書いた…

積で割った余りを合同式で求める。

高校時代は合同式と相加平均・相乗平均の大小関係が大好きでした。 それで、高校で普通合同式を使わずに解く問題も合同式を解きたいと思いました。そのために、一般的でない合同式の公式を証明します。 まずは合同式の定義と一般的な公式の証明をします。 こ…

第一同型定理までの要点まとめ

「代数学1群論入門」の第二章を読み終わり、理解の怪しいところもありますが、とりあえず忘れる前に概要を整理したいと思います。 群というのはある条件を満たした、集合 と 上で定義される演算 のペア のことで、ある条件とは①結合法則②逆元の存在③単位元…

部分群であるための必要十分条件

しばらく放置してたら完全に忘れてしまった群論入門。0から読み直してるので、知識を整理するために時々まとめていこうかなーと思います。自分の復習用なので、不正確なところがあってもご容赦ください(今回に限らないが)。 まず、群の定義をまとめます。…

一次不定方程式と行列

自然数 に対して不定方程式 の整数解 の1つを、行列を用いて求める方法について考えます。 前半は高校数学で扱うように、ユークリッド互除法を用います。 【前半】 とおくと, ある非負整数 が存在して, が成り立つ. すなわち, 整数 に対して より であるか…

オイラーのφ関数の公式

オイラー関数の公式を証明したことなかったなと思ったので、証明します。多分あってると思うけど、間違ってたらすみません。 これは次のように証明します。 残りは簡単です。 これは次のように証明します。 これらを合わせると次のことが分かります。簡単な…

積分による対数関数の定義(3)

正の実数 に対して が成り立ちます。ここで、自然対数の底 を と定義し、これが極限による定義 と同値であることを確かめます。 の における微分係数は より です。ここで、微分の定義より、 より であるので、 となります。 逆に と定義すると、 ここで で…

積分による対数関数の定義(2)

対数関数による積分の定義は、指数が無理数の時の指数関数を極限により定義しなくて済みますが、一方で今のままでは底が に固定されています。ですので、任意の底に対して指数関数・対数関数を定義したいです。 そこで を と定義します。すると、次の指数関…

積分による対数関数の定義(1)

ガンマ関数やベータ関数などの関数は積分で定義されることは有名ですが、Twitterで( を底とする)対数関数も積分により定義され、指数関数はその逆関数として定義されることがあるという話を見かけたので、それについて少し考えてみようと思います。 まず、…

φ(n)σ(n)の不等式

Wikipediaのオイラーのφ関数のサイト(オイラーのφ関数 - Wikipedia)に という不等式があり、面白いと思ったので証明してみました。証明してるサイトが見つからなかったので、誤りがあったらすみません。 なお、最後の方で以下のことを使いました。 という…

n! と mCn を素数 p で割り切れる回数(改訂版)

かなり初期に や を素数 で割り切れる回数について書いたのですが、かなり気に入ってるのでもう少し読みやすくできないかと思い、改めて紹介します。以下のことは認めることにしてください。 任意の素数 、 自然数 について、 ならば、 ある自然数 が存在し…

関数について

関数についてとりとめのないことをアレコレ考えて、何となくブログを書きたくなったので大した内容ではないですが書きなぐろうかと思います。 関数の分類の話 初めはある程度テーマを絞ろうと思い、関数の分類を整理するブログを書いていたのですが、思った…

放置してた極限の問題について。

かなり過去の記事で というのを考えていました。 natsu1014-brog.hatenablog.com 最終的に を得て、これは となるのではないかという予想をしたのですが、結局証明できないままになっていました。しかし昨夜、ふと思い出して考察したところやや進展(?)があ…

数式を書く練習

お久しぶりです。少し近況報告をします。最近はあまり趣味数学をせず、高校数学の復習に没頭しています。一方で、ようやく数研出版の『大学教養 微分積分』を購入し、今さっき第一章を読み終わったところです。 一応他にも大学の微積の本は二冊持っているの…

対数関数の公式

趣味数学ばかりやっていて、高校数学の力が確実に落ちてるなと感じています。なので最近は高校数学の問題も解くようにしていて、ブログの内容もしばらく高校数学にしようかと考えています。 それで、今回は対数関数の公式について軽く話します。高校の教科書…

「二胞角」ってある?

先にことわっておくと、今回の内容は重大な誤りを含んでる、または無意味な内容である恐れがあります。今回の内容に大きく関連する次の記事についても、同様である恐れがあります。 natsu1014-brog.hatenablog.com さて、前回、二面角という概念を使って、存…

2/15 ~ 2/22 に公開した記事一覧

数カ月放置していたブログだったが、春休みに入ってからモチベーションが上がり、一週間あまりで既に 15 回も更新しています。あまり洗練された内容は書けていないが、このブログを目にした人に少しでも面白いと思える内容に出会ってほしいと思い、二月更新…

正多胞体が6種類あることの証明?

正多面体は 5 種類しか存在しません。一方、正多角形は無限に存在します。 では、4 次元版正多面体といえる正多胞体は何種類存在するのだろうか? 念のため説明すると、4 次元空間の立体は 3 次元空間の立体(胞)により構成されます。立体は面、面は線によ…

スターリング数とベル数

前回、高校で習う代表的な順列・組合せを見てきました。 natsu1014-brog.hatenablog.com 今回はより難しい問題について、スターリング数やベル数と呼ばれるものを使って考えていきます。 [補足(2021/02/21)] ちなみにスターリング数の「スターリング」は、階…

高校で習う順列・組合せ

今回から順列・組合せの求め方を紹介していきます。なぜそんな初歩的なところから始めるかというと、ベル数とスターリング数について書きたいと思ったのですが、それらが組合せにおいて意味を持つため、基礎から順を追った方が良いと思ったからです。 今回は…

円周率は τ ?

円周率はいくらと聞かれれば、当然 3.14... や π と答えるでしょう。 しかし、中には π の代わりに τ を円周率に採用すべきだと考える人もいます。τ とは π を 2 倍した値です。 なぜ π より τ がよいのだろうか。それは公式などがより本質的または直感的に…

純虚数の階乗 Γ(ni+1)

ガンマ関数により階乗を複素数全体に拡張でき、それにより''(1/2)!=√π''を得ることが出来たわけですが、せっかくなら複素数の階乗も計算したいものです。 ということで、純虚数の階乗を(可能な範囲で)計算してみました。(z)!=Γ(z+1) なので、Γ(ni+1) を計…

cos(z)=1+i と黄金比 φ

cos(z)=1+i の解をしばらく前に計算したことをふと思い出したので、改めて計算してみました。計算結果に黄金比 φ が現れるのがお気に入りです。 なお、z の実部を x, 虚部を y とし、0≦x<2π としています。 WolframAlphaで計算すると、arccos(1/φ)=0.9045568…

良く知りたい関数たち。

今回はガンマ関数、リーマンゼータ関数、そして素数計数関数について軽くまとめました。ただ、また想定以上に長くなり、画像の準備が大変になったので、画像に直接説明を書きました。 まずガンマ関数です。これは、非負整数に定義される階乗を複素数の範囲に…

加法から始める巨大数・後編(下) コンウェイのチェーン表記, 4変数BEAF

前回はこちら。 natsu1014-brog.hatenablog.com 今回は前回紹介したクヌースの矢印表記やアッカーマン関数よりも強い表記法・関数を紹介します。 最初に紹介するのはコンウェイのチェーン表記と呼ばれるもので、次のようなものです。 (1)' は a→b→1 の →1 を…

加法から始める巨大数・後編(上) クヌースの矢印表記, アッカーマン関数

前回はこちら。 natsu1014-brog.hatenablog.com 前回までは巨大数詐欺だったので、今回からしっかり巨大数を紹介していきます。まずは既に登場したクヌースの矢印表記について話します。クヌースの矢印表記とは、ハイパー演算子と次のような関係にありました…

i^i^i^…の値

加法から始める巨大数・中編 i↑↑∞、2^x=x^2の解 - NTMRの数学メモ 上の記事で扱った i↑↑∞ すなわち i^i^i^… の値について、もう少し考えてみます。 i↑↑∞=W((-π/2)i)/(-π/2)i であることは分かったので、その値を x+iy (x, y は実数) とおきます。 すると、z …

加法から始める巨大数・中編 i↑↑∞、2^x=x^2の解

前編はこちら。 natsu1014-brog.hatenablog.com 前編では x↑↑∞ の値を表すためにランベルトのW関数が必要だというところまでいきました。 ランベルトのW関数とは y=xe^x の逆関数で、y=W(x) と表されます。そしてグラフはこのようになります。 点は (-1/e,…