三角関数から始める複素関数・前編 オイラーの等式, iのi乗
しばらく数学をやっておらず、めちゃくちゃ久しぶりの更新です。
僕は高校範囲外から片足はみ出したような内容で遊ぶことが多いのですが、その主な理由はそこまで難しくない範囲で「数学のトリビア」を知ることが出来るからです。単に、これより難しい話を僕が理解できないというのもありますが(笑)。
ですので今回から、テーマを「関数」に限定してトリビアの紹介を、自身の復習を兼ねて行っていこうと思います。
今回は変数が複素数の指数関数・対数関数を通して、世界一美しい等式とされる「オイラーの等式」と''愛の愛情は実在する''という言葉遊びが知られる「iのi乗」を紹介します。
この話をするためには、またマクローリン展開の話が欠かせないでしょう。
本題ではないので厳密な話は省きますが、マクローリン展開というのは、いい感じの性質をもった関数 f(x) を次のような無限和で表すことをいいます。
具体例を見てみましょう。
さて、今回考えたいのはe^ixのような関数ですが、eをix回掛けるという考え方では訳が分かりません。しかしマクローリン展開を行ったことにより、代入するだけで一歩前進できます。
すると、sin(x)とcos(x)のマクローリン展開も利用することで、きれいな式が得られます。
これがオイラーの公式と呼ばれるものです。
さらに、これにx=πを代入することで次のオイラーの等式が得られます。
また、e^ixが計算できたので、より一般に複素数 z に対してe^zが計算できるようになりました。
変数が複素数の指数関数は解決したので、次は変数が複素数の対数関数を考えていきましょう。対数関数というのは指数関数の逆関数ですので、任意の複素数 z に対してlog(z)の値は当然e^w=zを満たすwになります。
しかし気をつけなければならないのは、単純にe^πi=-1なのでlog(-1)=πiではないということです。なぜなら、オイラーの等式の両辺を3乗すると
となりlog(-1)=3πとも言えるからです。同様にしてlog(-1)=5πとも言えます。
要するに、任意の整数 n に対してe^(2n+1)π=-1が成り立つので、log(-1)はπ,3π,5πを含む無限個の値をとる多価関数だということです。
これだと非常に扱いづらい。そういうわけで、e^w=zを満たす複素数のうち -π<arg(w)≦πであるもの主値と呼び、頭文字を大文字としたLog(z)と表します。例えばLog(-1)=πiとなります。以下、変数が複素数の対数関数はLogを用いることにします。
さて、変数が複素数の対数関数を用いることで、ようやくiのi乗を計算することが出来ます。