NTMRの数学メモ

数学について調べたことを書きます。高校数学に毛が生えた内容。

二元数

 前回、複素数を拡張した四元数を紹介しましたが、四元数という言葉を聞いたら他の自然数 n に対して n 元数が定義できるのか、ということを考えるでしょう。実際、四元数の他にも八元数、一六元数といったものが定義できるそうです。逆に、数学者たちが定義することが出来なかった三元数は、そもそも矛盾なく定義できないことが証明されているそうです。

 ここで n 元数といったものを考えるきっかけとなった根本となる n=2 の場合、すなわち二元数を考え直すと、実は複素数だけではないのです。二元数には複素数(i²=-1)、分解型複素数(j²=+1)、二重数(ε²=0)の三種類があります。

 逆に、二元数には本質的にこの三種類しかないことを証明します。

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 書き直すとu²=s+tuとなるならば、もっと良いu(具体的にはu-t/2)を選んでu²=sとできる。さらに|s|≠0,1のとき、もっと良いu(具体的にはu/√s)を選んでu²=̟±1とできる、といった感じです。

 ちなみに四元数にも余四元数、分解型双四元数、双四元数などがあり、そういったものも含めて多元数と呼ぶようですが、全然分からないので触れません。

 

 これら二元数はいずれも行列によって表現することができます。行列のことを演算方法くらいしか知らない頃、このことで何となく行列ってスゲーと感じたのを覚えています。

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 ちなみに行列表現を使うことで、i,j,εどうしの積や和は意味を持たないことが分かります。ただし表現上ijε=-εとなることもあります。いずれにせよ、意味があるとは思えませんが。
[補足(2020/08/14)] i,j の積を考えることで分解型四元数を作ることができるようです。

 

 最後に、こういうこともしておきましょう。

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 分解型複素数の場合でまさかの双曲線関数が登場して、オイラーの公式とのつながりを感じました。たしかにWikipediaにも複素数と円、分解型複素数と双曲線の関係を感じさせるような記述があったようななかったような。

 そして、定義の時点で察していましたが、e^iεのシンプルさに笑いました。いや、いいと思いますよ。

 

 分解型複素数と二重数についてはこの程度しか知らないので、ブログで扱うことはもうないでしょうが、二元数は複素数だけじゃない!というのは数学トリビアとして使えると思うので、ぜひ覚えておいてください。では。