NTMRの数学メモ

数学について調べたことを書きます。高校数学に毛が生えた内容。

実数範囲における割った余りの定義。それと積分、極限。

Q.このグラフが表す方程式は何でしょう?

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A.y=(x+1) mod x

「どういうことやねん」って人もいると思うので、日本語で説明すると「x+1をxで割った余り」を表すグラフです。x≧1ではy=1、x≦-1ではy=-x+1となるので、このグラフで面白いのは-1≦x≦1の部分でしょう。

興味が湧いたので、0から1の範囲で積分してみましょう。その結果、出力された値は0.177537097932でした。おそらく四捨五入されていると思われますが、無理数なのかなといった印象を受けます。実際に計算して、確かめてみましょう。

 

しかし、このグラフを見て真っ先に浮かぶ疑問が1つあります。「(x+1) mod x が自然数以外の x に対して、どのように定義されるか」といった疑問です。ですから、余りの定義を自然数意外にも拡張する必要があります。

17÷3の余りは無論、2です。では17÷0.3の余りは何でしょうか。17から0.3を何度も引くと、56回引いたところで0.2となります。これ以上0.3を引くと負の数になってしまうので、ここで終了すると17を0.3で割った余りは0.2と結論づけることができます。

より一般に、aをbで割った余りを「a=pb+qと表したときのqの値」と定義することにします。すると、下のようになります。

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実際にa=x+1,b=xと置き換えたもののグラフを描写してみると、冒頭のものと(少なくとも視認できる範囲で)一致しました!ですから、これを0から1の範囲で積分すればいいでしょう。せっかくなので+1の部分が+2でも+3でもいいように、+m(定数)として積分します。

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最後のゼータ関数以外は高校範囲の知識で解けました(とは言え、計算ミスは何度かありましたが…)。おそらく、シグマの部分はmの式で表せないはずなので、これが最終的な答えとなると思います。
これにm=1を代入してみると、1-(π²/12)=0.177537097932でした。最初に出力した値が0.177537097932だったので小数第6位からズレていますが、このサイトが、この変わった定積分をしっかりと計算して答えを出しているとは思えない、すなわち図形の面積を近似的に求めているだけだと思われるので、ただの誤差でしょう。実際、m=2,3のときでも近い値を得ることができました。

ここでmをxに置き換えた関数のグラフを描写させてみます。その結果は以下の通りです。

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これは(t+x) mod tをtで0から1の範囲で積分したグラフとx>0の範囲では一致しました。負の値で何故一致しないのかは確認していませんが、それよりも僕が興味を引かれたのはx→∞のときこれが何の値に収束するかといったことです。大き目のxでのy座標を確認していったところ、どうやら1/4=0.25に収束しそうだということは確認できました。しかし、実際に計算しようとしても一つ目の項が∞×0の不定形で、グラフを描写したところどうやら-∞に発散するようですが、次は-∞+∞の不定形になってしまいますので、もうお手上げです。もしこの極限の捌き方が分かる方がいたら教えていただけると幸いです。

こんな感じで、今回は結論が完全にでない状態で終わりになりますが、まあ、今回の問題で面白いのは実数範囲でのa mod bの定義と、それを積分したらζ(2)がでてくるところ、そして極限をとると1/4に収束しそうだ、といったところですかね。

今回はグラフの描写や積分計算をdesmosを用いて行いました。desmosで遊んでいると思いもよらないことに気づいたりすることがあり、面白いです。
僕は大学数学を学んでいないので、こういった些細な問題からインスピレーションを受けてあれこれ考えることができるのは楽しいです。

 

おわり!