正多胞体が6種類あることの証明?
正多面体は 5 種類しか存在しません。一方、正多角形は無限に存在します。
では、4 次元版正多面体といえる正多胞体は何種類存在するのだろうか?
念のため説明すると、4 次元空間の立体は 3 次元空間の立体(胞)により構成されます。立体は面、面は線により構成されていることを考えれば分かるでしょう。そして、そのような 4 次元空間の立体のなかでも、正多面体から成るものを特に正多胞体といいます。
さて、正多面体の種類の個数を調べるとき、一点に集まる角の和が 360° 未満であることを利用しました。それと同様に、今回は''一辺に''集まる角の和が 360° 未満であるという事実を使います。そして辺に集まる角は面と面の成す角であるわけですが、そのような角のことを二面角といい、次のように定義されます。
二面角は、法線同士の角度として定義される。(Wikipedia より)
さて、面の法線を求めたいのですが、ここで便利なのが外積です。外積は二つのベクトルに対して、次のような定義・性質を持ちます。
2 つのベクトルの成分を掛けたり引いたりすることで、その両方に垂直なベクトルを作ることが出来るのです。ですので、今回はこれを使って二面角を求めていきます。
しかし、ベクトルで二面角を求めるには、正多面体の頂点の座標を知る必要があります。今回はここがメインではないので、Wikipediaから調べてきました。
正四面体から正八面体は、割と直感で求められそうな気もします。正十二面体と正二十面体はやや複雑ですが、黄金比がでてくるのは美しいですね。どうしてこんな座標になるのか導出が気になります(僕も分かっていません)。
さて、座標が分かったので実際に二面角を計算してみましょう。なお、僕は外積や二面角の扱いに慣れていないので、手探りでの計算しているので、おかしいところがあれば教えて頂けると幸いです。
このように正四面体から正八面体の二面角を求めることが出来ました。ただ正十二面体と正二十面体はこれらと比較にならないくらい複雑そうなので、Wikipediaを参考にしました。すると、5つの正多面体の二面角をそれぞれ次のようになることが分かりました。
さて、これにより正四面体から正十二面体までは一辺に3つ集まり得ることが分かりました(残念ながら正二十面体はダメなようですね)。さらに正四面体は4つや5つも集まることが出来ます。ということで、正多胞体は全部で6種類存在しそうなことが分かりました。
これは実際正しく、正多胞体は正四面体からなる正五胞体、正十六胞体、正六百胞体、正六面体からなる正八胞体、正八面体からなる正二十四胞体、正十二面体からなる正百二十胞体の6つが存在します。
さて、これで終わってもいいのですが、もう少し正多胞体について自力で計算できないかと思い、別の計算を行ってみました。*1
今回は、11種類の正多胞体が存在し得るという結果になってしまいました。しかし、一辺に集まる角の数に注意すると先ほどの議論から (N,v,e)=(6,8,4),(6,20,5),(12,8,4),(12,20,5),(20,20,3) は実現不可能だと分かります。すると結局残ったのは6つとなります。
この計算により、先ほどは分からなかった一点または一辺に集まる胞の個数が分かりました。それをもとに各 (N,v,e) に対応する正多胞体の頂点、辺、面そして胞の数を表にまとめてみました。
Mの値を調べる方法は分からなかったので、Wikipediaで対応するものを調べました。どうにかして簡単に求める方法はあるのでしょうか。
正600胞体という胞の数もすごいですが、その辺の数が1200というのはさらにすごいですよね。ちなみに5次元以上では正多胞体は3種類ずつしか存在しないようです。そう考えると、低次元というのも悪くないなと思います。(実際、高次元におけるポワンカレ予想はオリジナルのポワンカレ予想よりも先に証明されたそうです。)
参考にしたサイトは次の通りです。
今回はこれで終わりにします。ではまた。
*1: 「4次元における多面体定理」とは(凸?)多胞体の頂点、辺、面、胞の個数をそれぞれ v,e,f,c とすると v-e+f-c=0 となるというものです。どうやって知ったのか(または証明したのか)忘れましたが、恐らく3次元におけるものと同様、胞を1つ取り除いて三次元図形に置き換え、さらに胞を正四面体に分割して一つずつ取り除いていくことで証明できるだろうと思います。ソースがなくてごめんなさい…。ちなみに n 次元では n 次元立体の個数すなわち1を足す、または引くことで常に右辺を1にできるという話もあります