NTMRの数学メモ

数学について調べたことを書きます。高校数学に毛が生えた内容。

四元数と-1の平方根

 今回は、双曲線関数や複素三角関数に並んで高校時代の僕を興奮させてくれた四元数を紹介します。四元数とは端的に言うと、複素数の拡張版です。

 

 昔の数学者はi^2=-1を満たすiという虚数単位を定義することで複素数を作ることに成功しました。一番最初に虚数の概念を持ち出したのはカルダーノ(1501-76)という数学者のようです。ちなみにカルダーノは三次方程式の解の公式を示した人物で、さらに彼の弟子フェラーリ(1522-65)が四次方程式の解の公式を示したそうです。

 話を戻すと、こうして実部と虚部の2つの部分からなる数を作れたら、次は3つの部分からなる数を作りたくなるもの。しかしながら、誰も矛盾なくそのような数を定義することに成功しませんでした。しかし、ある日ハミルトン(1805-65)という数学者は外を歩いているときに4つの部分からなる数を思いつきました。彼はその喜びのあまり渡ろうとしていた橋にその定義「i²=j²=k²=ijk=-1」を刻んだと言われています。

 

 ということで、長くなりましたが四元数とは次のようなものです。

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(定義のあとに1とあるのはミスなので気にしないでください。)

 i,j,kは単独ではただの虚数単位ですが、3つがそろうとijk=-1として四元数にグレードアップします。そして、四元数うしの掛け算では交換法則が成り立ちません。行列と似ていますね。

 ちなみに四元数は英語でquarternion(クォータニオン)と呼ばれているので、複素数はzとおくことが多いのに対して、四元数はqとおくことが多いようです。また、四元数全体の集合はHamilton(ハミルトン)の頭文字をとって太文字のHを使うことが多いようです。

 i²=j²=k²=ijk=-1, |q|=√q×(qの共役)というのはシンプルで好きですが、あまり実用的ではなく、実際には

  ij=-ji=k, jk=-kj=i, ki=-ik=j

  |q|=√(a²+b²+c²+d²)

を使うことの方が多いと思います。以下、それを証明します。

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 四元数は現代でも、空間図形の回転の計算などで活用されているようです。今回は僕の理解が不十分なこともあり、そのことについて触れませんが、代わりに四元数についての面白い問題を紹介します。

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 b²+c²+d²=1を満たすb,c,dというのは単位球面上の円ですから、四元数の範囲において-1の平方根は無限に存在することになります。ちなみに4乗根についても同じで、恐らく2^n乗根についてはすべて単位球面上の点に対応します。

 なお、3乗根についても計算してみましたが、計算ミスでなければ少し汚くなったので割愛しました。

 

 以上で今回の内容は終わりです。数学者や数学の歴史を軽くでも覚えたくなったので、冒頭に軽く歴史を載せてみました。当然Wikipedia参照です。笑

 四元数WikipediaのURLを貼って終わりにします。ではまた。

四元数 - Wikipedia